ARGOアルゴさん
『シェフ山下の美味しい話』 ーシェフだから知る食の世界-NO.2
今回はクレープについてお話していきます。
日本でクレープと言えば、クレープの皮に生クリームやチョコレートを塗り、フルーツやアイスクリームをトッピングしたものをイメージすると思いますが、元々はフランス北西部のブルターニュ地方が発祥の料理で、元は、蕎麦粉で作った薄いパンケーキのガレット(Galette)という料理です。
ブルターニュ地方の土地は冷涼であるため小麦の栽培に適さず、蕎麦が常食とされていました。蕎麦粥や蕎麦がきにしてにして食べていましたが、ある人が蕎麦粥を偶然、熱々に焼けた石の上に落としてしまいました。
よく見てみると薄いパンのようなものが出来ているのを発見し、それから蕎麦粉を焼いてパンの代わりに食べるようになったと言われています。石で焼いたことから、フランス語で小石を意味するガレ(Galet)にちなんでガレットと名付けられたというのが通説です。
その後スペイン王フェリペ3世の長女のアンヌ王妃が、夫のルイ13世と共にブルターニュ地方へ狩りに訪れた際、現地の人々が食していたのを宮廷料理に取り入れたと言われています。
生地は蕎麦粉から小麦粉へと変化し、粉と水と塩だけだった生地も牛乳やバター、卵、砂糖などが使用されるようになりました。クレープという名称も、焼いた際にできる焦げ模様が、縮緬(ちりめん)を連想させることから、フランス語でクレープ(「細かな縮みじわをつけた薄手の織物」)と呼ばれるようになりました。
現在では、フランス風の薄焼きパンケーキの総称としてクレープという名称が使用されていますが、蕎麦粉を使用したクレープについてはガレットと呼ぶ人も多いです。
フランスでは、このクレープを使った面白い占いが行われています。
フランスで2月2日は"Chandeleur"と呼ばれ、この日クレープを焼くとき左手にコインを握り、右手で高くクレープを上へと放り投げ、上手くフライパンで受け止められれば幸運が訪れるということです。
あの有名なナポレオンも1812年2月2日、このクレープ占いに挑戦。しかし5枚目に失敗してしまいます。そしてその年、彼はロシア遠征に失敗し、退却する際「余の5枚目のクレープだ」と名言を残しています。
皆さんも左手でもいいので、是非クレープ占いにチャレンジしてみてください。意外に簡単ですよ。
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